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歩が出てきた以上、逆らうと面倒だ。
ここはおとなしく従うしかない。
「……そうやな。あぁそうや、沖田はん。伝言ついでに月に刀返すでわいのとこまでくるように伝えてや。」
丞は言う。
途中から永倉の部屋を見ながら。
あまりよく見えないから分からないが、おそらく月姫があそこからこちらを見ているだろう。
「今、持ってないんですか?」
沖田は聞く。
月姫は行くのを嫌がる。それは目に見えたことだ。
だから、ここで刀を受け取っておくのが最善。そう沖田は思う。
だが。
「刀、持っとるように見えるんか?」
丞は今、刀を持っていない。
今、受け取るのは無理なようだ。
「……分かりました。月姫さんに伝えておきます。」
仕方なく沖田は言う。
「刀って…月ちゃん、刀持っとるんか?この時代に来て買った、わけやないやろ?」
守が頭をかしげながら丞に聞いた。
「あぁ、最初から持っとった刀や。不思議な刀やわ。」
丞は言う。
不思議と言うところで守だけではなく、沖田も頭をかしげた。
歩は月姫の話だからか、少し不機嫌そうに顔をそらしている。
だが、興味があるのか少し瞳がゆらいだ。
「わいにはあの刀が抜けんのや。月は普通に抜刀出来とったはずなんやけど。抜こうとしても少しも抜けんのや。」
丞は言う。
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