4、母と子

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歩が出てきた以上、逆らうと面倒だ。 ここはおとなしく従うしかない。 「……そうやな。あぁそうや、沖田はん。伝言ついでに月に刀返すでわいのとこまでくるように伝えてや。」 丞は言う。 途中から永倉の部屋を見ながら。 あまりよく見えないから分からないが、おそらく月姫があそこからこちらを見ているだろう。 「今、持ってないんですか?」 沖田は聞く。 月姫は行くのを嫌がる。それは目に見えたことだ。 だから、ここで刀を受け取っておくのが最善。そう沖田は思う。 だが。 「刀、持っとるように見えるんか?」 丞は今、刀を持っていない。 今、受け取るのは無理なようだ。 「……分かりました。月姫さんに伝えておきます。」 仕方なく沖田は言う。 「刀って…月ちゃん、刀持っとるんか?この時代に来て買った、わけやないやろ?」 守が頭をかしげながら丞に聞いた。 「あぁ、最初から持っとった刀や。不思議な刀やわ。」 丞は言う。 不思議と言うところで守だけではなく、沖田も頭をかしげた。 歩は月姫の話だからか、少し不機嫌そうに顔をそらしている。 だが、興味があるのか少し瞳がゆらいだ。 「わいにはあの刀が抜けんのや。月は普通に抜刀出来とったはずなんやけど。抜こうとしても少しも抜けんのや。」 丞は言う。
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