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世界は沈黙した。
闇の中で、希望も絶望もなく、人は静寂の地平を見たのだ。
人類の到達した最高の叡智、栄光の象徴、それらの半分は脆くも瓦解した。
もう半分は押し寄せる大海がその内に閉じ込めてしまった。
私が唄うのは、形をとどめ深い青色の底で眠りにつく、見知らぬ都。
そこは辛くも逃げ延びた、遠い先祖が生まれた場所であり、私に受け継がれる血の故郷でもある。
古い都が沈みすでに幾千の時を越えた。
甦るときを待っているのか、それとも、もはや息を引き返すことなく永遠に眠り続けるのか。
私に知るすべはない、できることは古代の文明を唄い、その存在を伝え続けることだけである。
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