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『お…とう……さ、ま…?』
やっとのことで口にできた言葉。
まだ未発達の脳をフル回転させ、今起こっていることを必死に理解しようとする。
お父様が、頭から血を流して、全身血まみれで、倒れていて…それで、
目の前には銃を指で弄りながら爽やかな笑みを浮かべている白猫。
混乱している私に向かって白猫が声をかける。
「大丈夫かい、お姫さま。震えてるよ?」
そして笑みを崩さないまま、一歩、また一歩と私に歩み寄る。
暗くてよくみえなかったが、そいつは、まだ十七にも満たない子供だった。
『こ…来ないで!!!』
恐怖のあまり動かない体を無理やりに動かす。
今しかない……逃げるなら今だ………!!
血を吸って赤く、そして重くなったドレスをひきずり、扉へ走った。
あと少し、もう少しで………
『あ"ぁ!!』
刹那、右足のふくらはぎに激痛が走った。
「逃げるなんて、無駄だよ。」
白猫が持つ拳銃から一筋の煙がまっすぐと天井に向かって上っている。
白猫が、発砲した様だ。
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