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初めて聞いたその声に、思わず「は?」と聞き返す少年。
「そ、それとも、む、無理をしてるのか?」
「ま……素直に取り乱すのも恥ずいしな」
「…………」
それから何を話しかけても大柄な少年は何も喋らなくなった。
場の空気に耐え切れず、少年は立ち上がり部屋を調べだす。
ドアは鍵がかかっているのか、押しても引いても開く事はなかった。
窓も同様。
窓の外からは暗闇の中、街灯の明かりがうっすらと輝いている。
少年にはその明かりが、自分より低いか、又は同じくらいの位置にある様に見えた。
(ここって……二階なのか? ってか今、夜か……)
彼は携帯で日付と時刻を確認しようとポケットに手を突っ込んだ、が、空っぽだった。
(没収されたか……)
咄嗟にテレビに目がいったが、自分達を拉致した犯人が後からこの部屋に来るかもしれない為、スイッチを入れるのを躊躇した。
(あまり、勝手な事しちゃマズいか……)
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