179人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんで……なんでさ!? 明日から夏休みなのにっ! 家族で旅行に行く計画も立てていたんだよっ! 宿題だって……やらなきゃ……」
「こんな時に宿題の心配かよ……。でもま、夏休み始まって早々に拉致られたのは、さすがにショックだよな」
彼等学生は、明日から夏休みを迎える筈だった。
終業式を終え、ゲームセンターに立ち寄り、その帰り道に少年は拉致されたのだ。
こんな事になるなら真っ直ぐ家に帰っていれば良かった。と、小柄な少年の動揺する様を見て、少年は今更後悔しだした。
「そ、そうだ、助けを呼ぼう……あれ? 携帯……」
「携帯は、没収されたみたいだな」
「そ、そんな……」
小柄な少年は彼と同様にドアに駆け寄ると、ドアノブを回そうとした。
が、当然ドアは開かない。
「外から鍵、かかってる様だぜ」
「うぅ! 出して! 出してよっ!」
必死にドアを叩き、泣き叫ぶ小柄な少年。
(まあ、あれが正しい反応だよな……)
半ば諦めていた少年は、ただ冷静に小柄な少年の行動を眺めていた。
完全に諦めている空気を出している大柄な少年は、見て見ぬフリを続けていた。
最初のコメントを投稿しよう!