謁見

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「使い魔たちは、皆いい友人だからな。いまいち実感し辛いが」 「それは、……そうかもしれませんね」 ミルフィーユの言葉に、キリューがすぐに反論し掛け、しかし束の間の空白を開けてから頷いた。 それからおもむろに、俺を振り返る。 「以前とどれだけ違うのか、細かく説明出来るか?カレナ」 俺の存在に気付いていなかった2人、ミルフィーユとハミュルツが、この動作と台詞に驚きを表した。 ミルフィーユががたりと音を立てて立ち上がる。 「何時からそこに」 この台詞に同意した者1名、苦笑した者1名、ちょっと同情した者1名、呆れた者2名。 誰がどれだかは控えるが、結構分かれて面白かった。 さらりとミルフィーユは無視して、キリューの問いに答える。 「別に、それくらい説明しても誰かの使い魔の「呪い」を消して実演してやってもいいが……1度しかやらないぞ」 つまり、この打ち合せでやるなら、ディエン・カスタ・ミヤではやらない。 そう言ったら、キリューは少し思案して、「なら今はいい」と断った。 無視されたミルフィーユが焦れて、軽く声を荒げる。 「おい、無礼者。何時から居たと聞いている」 ミルフィーユのこの言い様は使い魔や俺を侮ってると言うよりは、まださっきの皇帝への態度に対する怒りが納まっていないらしい。 刺々しく言うミルフィーユに、そ知らぬ顔で言ってやった。 「最初からずっと此処に居たぞ?気付かなかったのか、ミルフィーユちゃん」 ――この後、ミルフィーユのあまりの怒りっぷりに、打ち合せは一時中断した。 俺が腹を抱えて笑ったのは、言うまでもない。 ちょっとカルシウムでも取ったらどうだ?と、他人事ながら忠告したくなる勢いだった。 あの反応は、子供の頃とかによくからかわれた経験ありと見た。 いやー、威力絶大。 一頻り笑い終わった後に、ああそうだと話題を変える。 「名前で思い出した。ヴェルゼ」 呼ばれたキリューが俺を見やる。 はっきり見えないフードの中からでも、訝しげな視線が感じられた。 「公の場の時は、カレナって止めないか?」 端的な要請に、キリューが不思議そうに聞き返す。 「他になんて呼ぶんだ?」 「それは任せる。「漆黒の帝王」が「カレナ・ライルテッド」だ、って言う情報、あんまり流したくないんだよ」 「……今更じゃないか?」 「いや?多分まだ、どうにかなる。今居る使い魔たちの記憶は消えるし、この世界の人間はどうでもいいし」 問題は、それ以外。
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