仕事

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次、停まります アナウンスが流れたあと、中乗り前降りのバスの戸は開けられた 車内の温度の低下を嫌がっているのか 如月の寒さ乗り中に老人を追い出そうとしているのか 僕等がいくら思索しようとも その戸は何も考えてはいない 開閉することだけが彼の仕事なのだから そのマニュアルに思いやりなど添加する必要はない なんて一人で考える僕を置いて アスファルトと雪はただ冷たく座り込んでいる ヒントも与えぬ黒と白の冷ややかな沈黙の中へ 老人は独り ステップを降りていった
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