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「何か、かっこいい」
心がこもっているのかこもっていないのか判らないけど、何だか流華さんは少し嬉しそうにしている。楽しそう、でもあるんだけど。
「ねえ、仁志くんってシたことあるの?」
「急に何を……知りませんよ、そんなこと」
「自分のことなのに」
「さてね、どっちだと思います?」
逆に訊いてやると、流華さんは急に真面目な顔をして、色んな角度から俺を観察し始めた。
訊くんじゃなかった、かな……。
しばらくそうして見てから、流華さんは諦めたようにまた俺の膝にもたれる。
その仕種がまるで猫みたいで、ドキッとしてしまう。
別に猫が好きとか嫌いとかそういうことではなくて、女性を猫のようだと思ったときの男の心理が問題なのだ、と俺は思った。
さっき何とか堪えた妙な衝動が、下腹のあたりでうぞり、と動く。
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