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「判んないなあ。こういうの、すっかり見抜けるくらいには色々見てきたと思ってたんだけど」
「……そんなの、どっちだっていいじゃないですか」
流華さんのような綺麗な女の人を見つめながら。
自分の老成っぷりに軽く絶望した。
俺の知る限り、高校生の男というのは、こういうシチュエーションに焦がれて焦がれてどうしようもないものだ。
俺だって、何も感じてないわけじゃない。態度には出せなくとも、それなりに動揺や反応はしてる。
けど。
どうしようもなく枯れた自分をも感じてしまって、何だか切なかった。
すると、流華さんは俺の膝を指先でトトン、とリズムをつけて弾く。
彼女の肩にかかる長い髪が、さらりと流れて落ちた。
「……ごめんね、あたし、高校生相手に何してるんだろう……」
流華さんの瞳から、さっきまであった強気が失せる。
それが何だか寂しそうで、俺は壁に完全に身体を預けてから、両手を広げた。
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