性分、ってやつ。

13/15

36343人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  さっき最初に見た瞬間にそうだろうな、とは思っていたけど、流華さんの仕事は夜の蝶。  キャバクラでのバイトは大学生の頃からやっていて、自分の生活にあまりに合っていたからそのまま就職もしないで続けている、と流華さんは言った。  さっきカフェで言い合いをしていたのは、やっぱり流華さんのお客さんだったようだ。  指を3本立てて「コレで今晩、どう」なんて毎回誘ってくる客で、ずっとやんわりかわしていた流華さんは今日とうとう怒ったらしい。  そうしたら、あの騒ぎになった、というわけか。  俺に全身でもたれ掛かる流華さんは、ときどき身じろぎしながら、ぽつぽつと自分のことを話してくれた。  ──報われることはないけど、好きな人がいる──ということまで。  冷たいかもしれないけど、正直俺はそんなことどうでもよかった。  流華さんの泣きたい気持ちが治まってしまえばそれでいいし、そうでなくとも彼女の身体は細いなりに抱き心地がよかったから。  さっきは猫のようだと思ったけど、こうして腕の中にすっぽり収まってじっとしていられると、何だか子犬のようだ。やたらあったかいし。 .
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36343人が本棚に入れています
本棚に追加