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「お姉ちゃんありがとう……怖かったよ……グスッ…」
男の子は瞳いっぱいに涙をためて今にもあふれそうな感じだった。私はゆっくり近づいてポケットに入っていたハンカチを渡す。
「全く…男の子なんだからしっかりしなきゃだめだよ?」
頭をなでながら話をする。すると少し落ち着いたのか声のトーンが普通になった。少年は下を向いて呟く。
「でも…さっきいわれていたこと事実だし…言い返す勇気ないし……」
私は気になってこの子のことを詳しく聞いた。するとお父さんはいかにも胡散臭い商品を売るセールスマンでお母さんは生活費を稼ぐために人妻バーで働いているという……。
話し終わると少年は私の胸もとで泣きじゃくる。よっぽどつらいんだね……私は思わぬことを言ってしまったのだ。
「しょうがない…私に任せて。」
「私が…君を守ってあげるよ!」
少年に向かって太陽のようににっこりとほほ笑む。すると少年が泣きやんで私の顔をまじまじと見つめる。
「…お姉ちゃんが?」
「そ!私、春香。君は?」
「僕は…」
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