1夜

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「朔!」 名前を呼ばれて声のした方を見ると、探していた友人――零を遠目に見つけた。 見知らぬ女の肩を抱いて、「先に出る」というような合図をすると背を向け出口へ消えた。 店に入ってそう時間も経たないうちにナンパしたようだ。呆れるというかもはや感心する。 零も帰ったようだし居心地悪い店にいても仕方ないから店を移ろうかと考えている朔の前に女が立った。 「お兄さん一人?」 キャミソールのワンピースで肩を露出させ、栗色の巻き髪。派手な化粧。 どこに行っても似たような女だけか、と思い店を移動するのはやめにした。
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