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「…え、なに?…ごめんなさいって?」
大樹が庄司の後姿と俺の顔を見比べながら、目を丸くしている。
俺の心に、徐々に苦い思いが広がり始める。
…とてつもなく、後味が悪かった。
…確かに、俺には、どうしようもないことだったとは思う。
歪んでいく桐生の心を受け止めることなど、俺には出来なかった。
でも、…あそこまで、彼女を狂わせてしまった俺に、…本当に責任は無いのだろうか。
いくら考えても、…答えは出そうになかった。
ふと、和真の事を思い出す。
美紀さんに刺された夜、病院のベッドの中で天井を眺めながら、美紀さんを惑わせた自分の責任について、考え込んでいた和真の顔。
きっと今の俺は、…あの時の和真と、全く同じ表情をしているのだろう、と思った。
もう一度トラックの方に目をやり、笹森の姿を探すと、先程、渡辺に叱られたからか、茂木と二人で黙々と走っているのが見えた。
…桐生が学校を去った今、…これでもう、…彼女の暴走が笹森を傷つけることはない。
身勝手な考えだとは分かっていたが、…正直、安堵している自分がいることも、確かだった。
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