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「せっかく、…春山くんのこと、好きだって伝えることが出来たんだもの。
逃げないで、…じぶんの壊れてるところ、ちゃんと治して、
…そうして、…いつか…春山くんのこと、幸せにしてあげたい。」
彼女の潤んだ瞳は、希望の光を含んでいるように、輝いて見えた。
俺の心は、熱くなった。
彼女が、…俺のために、前を向いて歩き出そうとしている。
…涙が出そうなほど、嬉しかった。
「…一緒に、がんばろう。…俺も、手伝うから。」
俺がそっと唇を寄せると、彼女は目を閉じた。
唇を重ねると、彼女の温度が、優しくじんわりと俺に伝わってくる。
笹森さえいれば、…俺は幸せを感じていられる。
彼女が俺の傍にいてくれるだけで、充分だった。
唇を離し、頬を染める笹森の顔を見ながら、俺は、ふと思った。
もしかしたら、笹森が俺を必要としているというよりも、
俺の方がずっと、…遥かに笹森を必要としているのかもしれない。
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