第36章

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「せっかく、…春山くんのこと、好きだって伝えることが出来たんだもの。 逃げないで、…じぶんの壊れてるところ、ちゃんと治して、 …そうして、…いつか…春山くんのこと、幸せにしてあげたい。」 彼女の潤んだ瞳は、希望の光を含んでいるように、輝いて見えた。 俺の心は、熱くなった。 彼女が、…俺のために、前を向いて歩き出そうとしている。 …涙が出そうなほど、嬉しかった。 「…一緒に、がんばろう。…俺も、手伝うから。」 俺がそっと唇を寄せると、彼女は目を閉じた。 唇を重ねると、彼女の温度が、優しくじんわりと俺に伝わってくる。 笹森さえいれば、…俺は幸せを感じていられる。 彼女が俺の傍にいてくれるだけで、充分だった。 唇を離し、頬を染める笹森の顔を見ながら、俺は、ふと思った。 もしかしたら、笹森が俺を必要としているというよりも、 俺の方がずっと、…遥かに笹森を必要としているのかもしれない。 .
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