節分大空襲

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「鬼は外!福は内!」 節分になると そういう声も聴きます。 豆を蒔くのも 畑や庭に撒くぐらいのことでしたら 1年のうち1日ぐらいは と我慢もしてきました。   「福は内、鬼も内」と言う地域もあると聴いて、すこし救われていました。 しかし、今年は言わせて頂きます。 人間にも良い人もいれば、悪い人もいます。 鬼だって、良い鬼もいれば、悪い鬼もいるんです。 もちろん、良い福もいれば、悪い福もいるんです。 我々、鬼は 人間と仲良くしたいのです。 『泣いた赤鬼』というお話は御存じですか? 我々は、このお話のことを一時も忘れたことがありません。 いっぽう人間は、21世紀になっても 『桃太郎』や『金太郎』といった昔話をし、 鬼退治をする者をヒーローとして扱い賛美する。 去年の節分でした。 我々 鬼の村に 豆の雨が降りそそいだのです。   上空には、3機4機の飛行機が。 あれは 豆まきではない。 空襲です。爆撃です。 屋根を貫く 豆弾 小鬼をかばう親鬼 泣き叫ぶ声 呻く声 村は血の海 豆の海 善悪って、なんですか? 平和って、なんですか? 恵方に向いて 巻き寿司を食べるとき 豆を食べるとき イワシを食べるときに 考えてもらいたい 広い世界 豆も食べられず、飢えに苦しんでいるものもいるでしょう 病に苦しみながら、治療を受けられないものもいるでしょう 暖をとれず、寒さに凍えているものもおりましょう
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