Shoot the Grail！

１

「明日話すのです」
彼女は大事そうに銃を抱えたまま、コンクリの壁に身を寄せて目を閉じた。彼女に訊きたいことはまだまだあるが、下手に起こして乱射魔の真似事をされても困る。
「あーあ。何で俺こんなことに巻き込まれてんだ？」
仕事に遅刻しかけただけだったはずの朝が、とんでもない騒ぎに発展してしまった。包丁で脅されて地下室に手錠で繋がれて閉じ込められて、その理由は未だ不明。
理不尽だ。余りにも理不尽だ。俺、神様怒らせるようなことしたっけ。何だかんだ言って、俺は今まで誠実に生きてきたぞ多分。
俺が家に帰れる日は、来るのだろうか。