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朝起きたら目の前に顔があった。 「!?」 「おはようございますなのです」 「あ、はい、オハヨーゴザイマス」 「声が裏返っているのです、オーウェン」 「お、おーうぇん?」 「貴方がそう呼ばれているのを聞いたのです」 俺はどこの外国人だ。アイアムジャパニーズ。俺の名前はれっきとした日本語で構成されている。確かに音感は似ているが。 「違うのですか?」 「別にそう呼びたいなら呼んでくれていいけど」 訂正して本名を告げる方がよっぽど馬鹿だ。別に害はないし、オーウェンでも構わない。違和感は拭いきれないが。 「ならばいいのです。私のことはマリアとでも呼んでくれればいいのです」 金髪碧眼でマリア。ここはどこの少女誌だ。いや、殺伐としてるから少年誌でも大丈夫か。何にせよ、漫画の世界に迷い込んだ気分だ。 「つか、自己紹介が遅すぎやしないか?」 「貴方が先日訊かなかったからなのです」 「訊かれたことには答えてくれんのか?」 「私が答えられることなら答えるのです」 「それなら、昨日の質問に答えてくれよ」 「昨日の質問とはどのことなのですか?」 「俺をここに連れてきた理由が知りたい」 「私が貴方に会いたかったからなのです」 「家は隣なんだからいつでも会えるだろ」 「一日中一緒にいたかっただけなのです」 「何だそりゃ。恋人同士じゃあるまいし」 「それでは今から恋人同士になるのです」 「突っ込めばいいのか、ここで。何それ」 「私とオーウェンが、恋人になるのです」 「冗談抜き?そのために俺ここにいる?」 「?冗談で銃刀法違反は犯さないのです」
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