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こいつ、本気だ。無表情、無感情な顔に一瞬だけ朱が差す。普通に見たら可愛い光景なのに、現状そうは思えない。ごつい銃を持ったままだと全ての行為がシュールに見えてくる。新たな発見だ。 「あのさ」 「はいなのです」 「告白なら時と場所と場合を選んで欲しいんだけど。TPOは大事だからな。物凄く」 「時と場所と場合を選んだ結果なのです。普通に話し掛けるにはオーウェンは遠すぎるのです。それに、まともに会って話す時間もないのです。貴方の仕事は昼にあるらしいのです。私の仕事は夜なのです」 「日本国憲法第二十七条を二百回程読んでこい。児童酷使の禁止って書いてあるから。それ以外にも色々問題はあるが」 「知ってるのです。私は労働基準法を知らないほど子供ではないのです」 「それなら俺の言ってること分かるだろ」 「分かりますが仕方ないのです。家計が危ういのです。両親もいないのです」 「リアルな話するなって。気が滅入る。もう既に俺の精神は崩壊寸前なんだからさ」 「暗に精神を安定させるお香を焚けと言っているのですか?」 「暗に自宅に帰らせてくれと言っている」 「それならば却下するのです。オーウェンはずっとここにいるのです」 「いたくねーよ、普通に。つか仕事行かせてくれ。俺の家も家計危ういんだよ。それに、俺が行かないと結構な数の人に迷惑かかるから」 「それも拒否するのです。どうしても抵抗するならこの銃を使用してでも貴方を止めなければいけなくなるのです」 「その銃で撃たれたら、俺出血多量で死ぬかもよ。その場でショック死の可能性もあるし」 「その時は私も後追いで自決するのです」
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