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「あのー、少しばかりお願いが」
「仕事に行きたいというのなら駄目なのです。貴方が仕事に行かなくても、すぐに誰か代わりが来るのです。全く問題ないのです」
「さりげなく傷つくこと言うなよ。俺は俺だから俺の代わりはいねーのどこにも。家計危ういなら、お前も早く仕事行けよ」
「日本国憲法第二十七条はいいのですか?」
「親いないんだろ。ったく、養護施設行けばいいってのに」
「私はオーウェンと一緒にいるのです。施設にも仕事にも行かないのです」
「そういうのを我が侭って言うんだ。つーか、お前まだ学校行く年齢だろ」
「オーウェンといたいのです。どこにも行かないのです」
「ゾッコンだな。自分で言ってて恥ずかしくなるが」
「言い回しが古いのです。今時そんな言い方はしないのです」
「それが世代の差、犯罪になるかならないかの境界線だ」
「犯罪にならなければ良いのですか?」
「そういう問題じゃねーけどそういう問題もあるよな」
「オーウェンの言うことが分からないのです。矛盾しているのです」
「分からなくていいし、矛盾はしてないと思うがな」
会社員の男性が女子学生を暴行し、なんて記事が新聞に載ることを想像しかけて、やめた。そんなことをしたら、俺の人生は間違いなく終わる。問答無用で十三階段を登る羽目になるだろう。刑法とか以前に、最凶の名を冠す俺の上司が飛んでくる。
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