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俺がマリアと名乗る少女に地下室まで連れ去られてから、かなりの時間が経った。日にちという概念は忘却の彼方へ消え去っているので、時間が経ったとしか言いようがない。
今のところ銃をぶっ放されたり包丁で突き刺されたりということはなく、そこそこ平和的に過ごしている。
ただ問題があるとするなら――むしろこの生活そのものが問題なのだが――俺は、最初にここに連れて来られてお握りを食べて以来、何も口にしていなかった。水はマリアがミネラルウォーターを数本用意していたため特に不自由はなかったのだが、固形物と呼べるものはなかった。最初にパン派かご飯派か訊かれたからてっきりパンがあるものだと思っていたのだが、お握りしか用意していなかったらしい。何故訊いた。
俺とマリアが仲良く餓死して無理心中、という末路が見えてきた。頼みの綱の水も、恐らくそろそろなくなるだろう。
俺は絶食のやり方なんか知らないから、あと数日の間に自力で脱出するなり救助隊が来るなりしてくれないと待っているのはただの屍、ということになる。マリアはいざとなれば自宅に食糧があるだろうが、手錠に繋がれている俺には何もない。
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