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「死体の顔なんて見れたもんじゃないらしいがな」 「私はオーウェンと一緒にいたいのです。それだけなのです。生死は関係ないのです」 「関係あるから、普通に。死んだらそれまでってよく言うだろ」 「証明されてはいないのです。だから私は死後の永遠に賭けるのです」 「自殺したら地獄行きだぞ」 「地獄でも構わないのです。私にとって大事なのはオーウェンと一緒にいることなのです。天国も地獄も然程変わりはないのです」 「俺が構わなくない。俺は自殺推奨派じゃない。大体、死んで一緒にいられる保証はないからな」 「バラバラになった時は私がオーウェンを見つけるのです。オーウェンは何も心配することはないのです」 「ったく、ああ言えばこう言うな。今俺の目の前には心配することしかねーよ」 「ああ言えばこう言うのはオーウェンの方なのです。いい加減にして欲しいのです」 マリアの声が少し冷えた。怒っている。それも、かなり。その怒りは、すぐ行動になって表れた。 「私にはこの場で狩りを行う権限があるのです」 アサルトライフルの銃口が微かに震えながらも俺の心臓を狙っている。震えの理由は単なる鍛練不足と筋力不足。決して覚悟不足ではない。至近距離だから、時間差はあれど死は免れないだろう。もちろん、その距離でぶっ放したマリアも無事では済まないだろうが。
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