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数日が経って、ようやく普通に立って歩けるようになった。当然警察に事情聴取とかはされたわけで、正直かなり疲れた。喋れないフリでもしてやろうかと思ったが、警察の誰かがどこかから俺と上司の毒舌合戦を見ていたらしい。元気ですねぇと揶揄された。最悪だ。 やっと退院して、今度はマスコミに捕まった。まさか自宅に張り込まれているとは思いもよらなかった。上司が一喝したら逃げて行ったが。あの上司に怒鳴られたら、二度とこの辺り一帯に近寄れなくなるだろう。少々可哀想ではあるが、仕方ない。 ちなみに、新聞の地方欄には『隣人の少女に監禁された男性、記者に乱暴』と書かれていた。おい、俺がいつ乱暴した。大体、怒鳴ったのだって俺じゃない。 警察とマスコミが来なくなった段階で、俺は上司と一緒にマリアの面会に向かった。座って話せるくらいには回復したと連絡があったからだ。 ドラマなんかでよく見る面会室。俺が椅子に座っていたら、目に見えてやつれたマリアが面会の立会人に付き添われて入ってきた。やつれてはいるものの、死の直前だったあの時からすれば随分マシになったと思う。そういえば、マリアはまだ俺に惚れ込んでいるのだろうか。
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