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と、ここで立会人の目が覚めた。ふむ、漫画のようなタイミングである。マリアの台詞に被せるようにして「もう時間過ぎてます!」と叫ぶ。
マリアは何か言いたげだったが、周りがそれを許さない。立会人が暴れるマリアを引きずり、俺と上司は椅子から立ち上がる。
「オーウェン!」
マリアの絶叫。押さえろ、手錠どこだ、といった会話が聞こえてくる。そりゃあ、あんだけ叫べばこっぴどく怒られるだろう。
「私は、」
聞かないことにしてサクサク出て行った。上司は何も言わずについて来て、部屋の扉が閉まった瞬間に爆笑した。
「オーウェンって何だよ、**!お前どこの外国人!?」
「とりあえず、今すぐその口を閉じて下さい。それと、俺にそういうことは聞かないで下さい。あと、**って呼ばれるのは嫌いだって前から言ってますよね?」
「お前何で自分の名前そんなに嫌いなんだよ」
「嫌いなものは嫌いです」
「つーかさ、」
「オーウェン!!」
閉めた扉から絶叫が聞こえた。おい、防音加工はどうなってるんだ。手抜き工事だぞ。
「私はいくらでも追いかけるのですよ!!」
これから爽やかな気持ちで帰ろうとする奴に堂々とストーカー宣言をするな。それっきりマリアの声は聞こえなかったが、気分はどん底である。
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