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今のところその気はないらしく、彼女は俺の手に手錠をかけただけだった。これで本格的に抵抗出来なくなったのだが、それより先にこんなことをする目的が訊きたい。いかな俺が海より寛大な心を持っていようと、理由も分からずに殺されるほどではないのだ。海だって理由もなく干上がったら怒るだろう。誰に対してかは知らないが。 天井の中央に備え付けてある電球の様子を見ている彼女の様子をじっと観察する。以前――といっても三ヶ月程前になるが――見た時も思ったが、日本人離れした容姿の持ち主だ。金髪碧眼の日本人はいない、と思う。確証はない、多分、外国人なのだろう。日本語は達者だったが。 見た目はかなり華奢な部類だが、度胸は見た目以上らしい。包丁一本で人一人拉致するのだから。度胸と同時に腕っ節もある可能性は否定出来ない。
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