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じっと少女を眺めていると、こちらを振り向いた彼女とバッチリ目が合った。何となく気まずくなって俺から目を逸らす。彼女は俺が目を逸らした後もこちらを見つめ続けているらしい。らしいというのは、少女の方を振り向く度胸がないからだ。彼女にはあっても、俺にはない。包丁は怖い、さすがに。 しばらく目を逸らしていると、少女がこっちに向かって歩いてきた。手には包丁、目には無感情。これでビビるなとか言った奴は鉄拳制裁だ。覚悟しろ。 少女は俺の前で立ち止まり、顔を覗き込んできた。そっぽを向くように目を背けると、包丁で首筋を突付かれた。
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