6/10
前へ
/48ページ
次へ
二回目のコミュニケーションは、恐らくその日の夜だった。窓がないから昼なのか夜なのかも分からない。まあ昼ではないだろう。 「食事はどうするのですか」 「食事?」 「パン派ですかご飯派ですか、と訊いたのです。深く考える必要はないのです。私は貴方に合わせるのです」 「あー、ご飯でお願いシマス」 「何故そんなに緊張するのか、私は疑問に思うのです。貴方は楽にしていればいいのです」 「包丁持った女の子と二人っきりというシチュエーションは求めてないです」 「敬語も必要ないのです。私は貴方より年下と思われるのです」 「はあ、そうでしょうね。おいくつデスカ?」 「女性に年齢を訊くのは失礼だと教わらなかったのですか?」 「すいません」 「敬語及び謝罪は必要ないのです」 「じゃあ何て言えばいいんだよ」 「普通に話せばいいのです」 言いながら少女はコンクリで出来た床の一部を取り外し始めた。引きずっているせいか、黒板を爪で引っ掻いたような音が酷く耳障りだ。頭痛がする。色んな意味で。 「貴方は私に対し気負う必要はないのです」
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加