満月の夜君を見つけた

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黄乃弥side 良いにおいがする 今までで一番だ でも、どこからする? この人ごみの中どこからか香る でも、着実に近づいている どこからかだ? 誰からだ? 食べたい 吸いたい 自分を満たしたい ふと、真横から香る こいつだ! だけど、俺の動きは止まった ただ、彼を目で追うだけ 誰かと楽しそうに喋りながら その笑顔はそれはそれは輝いていた ―満月の夜君を見つけた― あっ! 気づいた時には彼は人混みの中へと姿を消していた やってしまった あんなに旨そうなにおいは初めてだったのに 見失ってしまった あの日から、もう13日が経ったのか… 月が綺麗だ 今宵もまた満月だ あのにおいが忘れられず ずっと歩き続ける ただ、俺が歩けるのは夜だけ 時間は限られている 早く、早くあのにおいのもとへ そして、食べたい、吸いたい 彼の血が欲しい… 彼に、もう一度会いたい .
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