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ん?
とある閑静な住宅街を歩いていたときふわっと香る
それは、忘れるはずがない
彼のにおいがする
そのにおいがする方へ歩いていくとそこにはお世辞にも綺麗とは言えない家があった
あの彼がこんな所に住んでいるはずがない
大きなお城みたいな家に庭には色とりどりの花が咲いている
そんな所が似合う彼が
ボロボロで台風が来たら壊れてしまいそうな小さな家に住んでいるはずがない
だけど、確かににおう
腹ぺこな俺はそのにおいに誘われて窓を開けた
鍵がかかっていないなんて危ないなんて思いよく窓を見てみると窓についている鍵はもう意味をなしていなかった
やはり、こんなとこに…
でも、いたんだ
彼は確かにそこにいた
部屋の片隅に一人布団に寝ている
それはどうみても彼で
あのにおいも強烈ににおう
まさしく、彼に違いない
だけど、俺は彼の血を吸うことができなかった
すやすや眠る彼は美しすぎた
真っ白な肌に整った顔立ち
そこに二つの穴をあけるなんて、躊躇わない訳がない
そんなこんなでずっと彼の寝顔を眺めていた
そしたら…
「…んっ…んぅ?」
ばっちり目があった
大きな瞳がより大きく開く
嗚呼、俺は彼に完璧に惹かれている…
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