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紅依side
誰?
なんとなく気配を感じ目が覚めた
そしたら誰かが俺の事を見ている
一人暮らしのこの家には勿論俺しかいないはずな訳で…
ならば、この人は不審者であり不法侵入だ
寝ぼけていた頭がやっと冴えた
「けっ……警察!」
警察を呼ばなきゃ!
俺、殺されちゃう!
そう思うのに、体は動かない
前に翠馬ちゃんに「秀ちゃんってヘタレだよね」って言われたのを全力で否定したがやはり俺はヘタレみたいだ
叫ぶだけで、いっこうに動かない俺に近づいて来る怪しい奴
嗚呼、もう終わりだ
最期に蕎麦でも食べておきゃ良かった、なんて案外冷静でいられたのは怪しい奴がそれほど怪しくなかったからなのだろうか
よく見れば歳は近い
幼い顔立ちに優しそうな柔らかい表情
そして、怪しい奴は言った
「あなたに惹かれました」と…
今は寝ぼけてはいない
ならば、この耳は正常だ
それならば、尚更思考が止まる
一種の告白をされた
しかも初対面の人に
しかも不審者に
しかも男の人に
しかもこの俺が
だけど、何故か嫌な気はしなくて
むしろ、なんだか前からその人の事に対して好意を持っていたような…
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