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しばらく、そんな状態が続いていた。
僕は、活動日以外は何をするわけでもなく、ログインしても、ぼーっとしている。
そんな時だった。
「こんばんは。今暇だったりしますか?」
あーたんからのテルだった。
特別親しい訳でもなかったし、正直話したこともなかった。
驚いていると、あーたんは、行きたい場所があるのだが、一人ではどうしてもたどり着けないから、連れていってほしいのだと言う。
「友達や知り合いがいなくて、頼れる人いなくて。助けてくれそうな人を探していたら…。」
僕がいたらしい。
どうせ暇だったし、連れていってあげることにした。
僕には、大したことじゃなくても、あーたんにしたら、大冒険なんだ。
道中いろんな話をした。
他愛のない話だったけど、なんだかとても楽しくて、僕は目的地に着くのが少し寂しかった。
森林を越えて、開けたその先には、大きな滝が。
ゲームとはいえ、その絶景に、僕も見とれた。
ある攻略本に掲載されていて、どうしても行きたかったこと。
何度か、挑戦したけどたどり着けなかったこと。
「本当にありがとう。」
あーたんは何度も何度もお礼を言った。
そしてお休みの挨拶をしてログアウトしていった。
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