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ただひたすら、並んで待つだけ…。
これはかなり過酷だ。
子供は泣き出すし、回りの若い子達は、ゲーム機でひたすらゲーム。
僕は、中に入ったというあーたんとの、メールのやり取りが唯一の救いだった。
お昼過ぎ、ようやく中に入れたが、その頃には、もうくたくただった。
中に入ったことを告げると、イベントブースの横にいるという。
僕は案内パンフレットをみながら、その場所を探した。
胸がドクンドクンと高鳴った。
妙に早足な自分が少し照れ臭く、わざとゆっくり歩いてみた。
「ここか?」
ブース名を確認し、回りを見渡すと、その横の空きスペースに、4、5人の女性が立っていた。
あの中にあーたんが…。
急に不安になった。
それでも少しずつ近づいてみた。
そのなかで1人、目を引き付ける女性がいた。
背が高く、体格がよいという感じ。白いカットソーにジーパン。そこからのぞく手足は、はっとするほど白く、肩にかかるくらいの髪は、サラサラとしていた。
少しうつむき加減で、顔は見えなかった。
僕はしばらく、その女性に見いっていたが、あーたんを探さなくては!!
携帯を取りだし、
『着きました。僕は紺のジャケットを着ています。』
送信ボタンを押した。
運命の瞬間だった。
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