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寄り道をしながら、アパートに帰った。
ドアを開けても、
「おかえり☆」
と言ってくれる声はない。
部屋はガランと殺風景で、まるで、モノクロの世界みたいだ。
さっきまで彼女がいた。
部屋は温かくて、明るくて心地よくて…。
彼女と過ごした時間を巻き戻してみる。
彼女の声。
彼女の仕草。
表情の全てが焼き付いてる。
彼女がいるだけで、こんな殺風景な部屋が、大事な大事な宝箱になる。
彼女に触れるだけで心が安らいだ。
彼女を抱きしめると心地よくて、キスをすると愛しさが溢れてきた。
ベッドに横になる。
天井を見上げた。
ベッドがやけに広く感じた。
部屋も布団も冷たいな…。「二人なら温かいね。」
彼女の笑顔が浮かんだ。
何か熱いものが溢れてきた。
人を好きになるってこういうことなんだな。
「ひとりは寒いよ…。」
僕は少し泣いた。
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