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「上から伝え聞いていたのは君が学生でギルドランクB、非公式の賢者であるということだ。そこからさらに私が今日君を観察しての意見だが……」
そこまで一息に言い、一旦言葉を切り再び話はじめる。
「君は強力でなおかつ珍しい、あるいは君だけの魔法を複数持っているようだ」
「賢者ですからね」
この程度の情報なら誰でも推察できる。
「しかし君の使っていた魔法は殺傷力が無いものばかりだ。これは法律に起因する力の自制ではなく恐怖心からくる怯えといった方が適切だろう。要するに君は人を傷つけることを恐れている」
「それで?」
発言としては否定も肯定もしないが内心では肯定している。
「そこから君には戦闘に関する精神訓練が不足している。これは本来、王都の学園に在籍する生徒としては稀有なものだ。察するに生まれがそのようなことを想定していなかったということだ」
俺の情報はほぼ何も喋っていないのここまで当ててくるか。
「また君には甘さがある。私はそれに助けられたわけだがこれから政争を視野に入れているであろう君には非常に大きなハンデとなるだろう」
イリスによく言われることをまた言われてしまった。
だがこればっかりはどうしようもないとも思っている。
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