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「レン…?」
リンの言葉で、ハッと我に帰る。
…しまった…ビックリさせちゃったかな…
いつもはいきなりこんな事しないからな…
そう思って謝ろうとしたら、
「洗い物、そんなに嬉しかったの?♪♪」
そう言った。
その時、
良くも悪くも、
リンは僕の気持ちになんか、微塵も気付いていないんだなあって思って
なんか切ない様な、安心した様な、それでいて、少しだけ悲しい様な気持ちになった。
でも、笑顔で
「リンちゃん偉い♪いいこいいこ。」
そう言って、頭を撫でると、リンも笑った。
これで…いい…これでいいんだ。
そう自分に言い聞かせる。
「じゃぁ、レン、私寝てくるね。」
リンはそう言って、僕の腕から抜けた。
「わかった。おやすみ。リンちゃん」
僕が言うと、リンちゃんは少し背伸びして、
僕の頬に、軽くキスをした。
リンちゃんが寝る前にしてくれる、このおやすみのキスは
すごく嬉しい。
でも、なぜか、今日の僕は少し可笑しくて
気を抜くと涙が出そうで、
それをすごく我慢した。
…パタン
リンちゃんが部屋を出て行って、
ドアを閉めた後、
僕の瞳からは少しだけ、涙がこぼれてた。
―もう寝よう。
さっき起きたばっかで、眠りにつける不安だったけど、
起きてると色々考えてしまいそうで。
寝るしかなかった。
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