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「これは水じゃないのですよ」
まるで水とは正反対に位置するものを目にしたような様子でペットボトルを指差す。
「ペットボトルの中に水が入ってるだろ……」
「?」
嗚呼椿、椿や、お兄ちゃんはどうしたらいいんでしょう。このお嬢ちゃん、会話は出来るのに日本語が通じません。
「どこに水があるのですか?」
ペットボトルを気にも止めずに辺りをキョロキョロと見回し水を探す。
「この中だよ、ほら」
ペットボトルのキャップを外し、少しだけ傾けて水をこぼして見せる。
「水はどこなのですか!水!水!」
「見てねーし!?」
全然見てなかった。水を渇望するあまり、目を血走らせながら水を探していた。そのあまりに必死な形相は今にも喉の渇きから喉をかきむしりそうな程だ。
「落ち着け、そして俺を見ろ」
叫ぶ少女をなんとか落ち着かせ、今度は実践してみる。ペットボトルを空中で器用に傾け、ミネナルウォーターを口に流し入れてみせる。
「水!水なのですよ!」
「だからさっきから水だって言ってただろ!」
少女はようやくペットボトルの中に水が入っている事を認識し、嬉しそうにパチパチと手を叩いた。
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