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少女を背中に背負うと家に向かって走り出す。
「ところで名前はなんていうんだ?」
後々まで俺は何故最初にその質問をしなかったのか後悔する事になる。
最初に気付くべきだったんだ。どんな状況で裸の少女が土に埋もれている?
有り得ないんだ、そもそもそんな事。緑色の髪をし、さっきまで裸で土に埋まり水を欲しがっていた少女は口を開いた。
「植物なのですよ」
日本語が通じていないのかと思った。俺は名前を聞いたのだ。しょ く ぶ つ なんて名前の女の子がいるわけがない。
「え、え~と、名前はなんていうんだ?」
「植物なのですよ!」
少女は自信を持ってそう言い放つ。
「それ名前じゃねーよ!?」
「私は植物なのですよ」
そもそもそれに名前などあるはずがない。だって少女は人間のようで純粋な人間ではないのだから。
そいつは植物少女。
これが俺と植物少女との出会いだった。
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