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俺は走った。途中、小学生らしき集団に指を指されロリコンだと迫害され、中学生らしき集団にペドだと罵倒され、高校の友達に顔を見られそうになったが、気合いで全てを振り切った。
家が見えてきた事に少しだけ安堵する。敷地内に入ってしまえば誘拐犯だと誤解される可能性は限りなくゼロに近付く。
俺の家の構造は特殊で一階と二階が切り離されている。元々この家には祖父母が住んでいたと言うこともあるが、玄関には扉が二つあり、片方はそのまま一階の父さん母さんの部屋へ、もう片方は扉を開けてすぐ階段があり、二階へ行くと俺や椿の部屋がある。
片手で少女が落ちないようにバッグから鍵を取り出し、中に入る。鍵を閉めて二階へ上がってようやく一息着いた。
完全な誘拐が成立してしまったように見えなくもないが、勘違いしないで欲しい。
これはあくまでも土に埋まっていた少女を救う為の一時的な工程であり、決して少女を家に連れ込んだぜグフフなどど薄気味悪い笑いを浮かべてはいない。マジに。
家への道のりの中で何度か名前を聞いてはみたものの植物なのですの一点ばり。勿論そんな言葉を信じるはずもなく、未だ名前すら聞き出せていなかった。
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