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帰路の途中、俺は遠回りだと分かっていながらも緑道を使う事にした。木が立ち並び、一般道よりも人気が少ない緑道を歩いている方が気が楽だった。
何の気なしに木を眺めていると一瞬視界に有り得ないものが写り込む。少し動揺して歩みを止める。
心の疲れからくる錯覚かと思い目を擦る。そしてそれを見る。やっぱりある。おかしい。
目を擦ってもう一度それを見る。やっぱりある。どう考えてもおかしい。
大きく深呼吸する。目を擦る。それを見る。
「え゛え゛え゛え゛え゛え゛っ!?」
柄にもなく大声を出す。だってどう考えたっておかしい。
「人間が土に埋まってるうううっ!?」
全身の穴という穴から汗が噴き出す。思考する事すら忘れる程ぶっ飛んだ光景だ。
「ちょっえ゛え゛え゛っ人間え゛え゛え゛っ埋まってえ゛え゛え゛るうううっ!?」
とりあえず気の済むまでまで叫んでみる。勿論そんな事をしても状況は変わらない。
「ハァ……ハァ……」
叫び疲れて膝に手をつく。俺の前には相変わらず腰から下が土に埋まっている人間がいる。てかある。
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