960人が本棚に入れています
本棚に追加
「とりあえず119番だな、ケータイケータイ……」
ディスプレイを見て言葉を失う。真っ暗だった。
電源が入っていなかった。
電源を入れた。
充電が切れていた。
「おおい!ケータイが一番有効活用されようとしてる時にこれかよ!くそっ、救急車呼べねぇ……」
目の前の少女を見る。とりあえず掘り起こした方が良いだろう。死んでいるように見えなくもないが、生きているのなら救急車を呼べない今、そうするのが最善の気がする。
「今助けるからな、待ってろよ」
待つもなにも土に埋まってるんだからどちらにしろ待つ事しかかなわないのだろうが、少女はピクリとも動かない。
裸であるため、小学生のような体型とは言えど直視する事には引け目を感じる。それでも俺は必死になって土を掘った。
やっとお腹あたりまで掘り起こした時、少女のまぶたがピクリと動いた。
「お、おいっ大丈夫か!?生きているなら返事をっ」
少女のまぶたがまたピクリと動く。生きている。少女はまだ生きている。
最初のコメントを投稿しよう!