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それは文化祭前日のこと。
アドレスを交換してから全く連絡のなかった晴矢から電話がかかって来たのだ。
自分からメールしたり電話したりはしていたものの、かかって来たのは初めてで桃子はビックリした勢いで通話ボタンを押してしまった。
『あ、桃?』
『あ、はっ、はい!!』
『何、慌ててる?』
『いや、あの。電話かかって来たの初めてでビックリしちゃいました』
『あれ、初めてだっけ?かけたの…』
『初めてですよ』
晴矢の電話の向こうからはテレビの音が聞こえる。
時間帯的にも晴矢は自分の部屋でテレビを見ているんだろうと桃子は思った。
『何か用だったんじゃないんですか?』
『ああ、そうだった』
少し適当な話しをしたあと、桃子は電話がかかって来たということは何か用件があったのではと急に考えついた。
『明日の文化祭、俺と一緒にいねえ?』
『え、晴矢先輩とですか?』
『嫌なら良いんだけど。ほら、友達との約束もあるだろうし』
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