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当日、学校に行くとまず友人に晴矢に誘われたことを話した。
「まじで?やったじゃん」
「ほら~。やっぱり今井先輩は桃子のこと気にしてるよ」
「…そうなのかな?」
そんな雰囲気は晴矢からは全く感じられない。
「そうだよ。だって高校生活最後の文化祭だよ?その文化祭を先輩は桃子と一緒にいたいって思ったんだよ」
「ちょっと、あんた今日良いこと言うじゃない」
「でしょ?言ってて私も思った」
「ははっ、馬鹿なんだから」
キャハハと盛り上がる友達と一緒に桃子も笑う。
本当に友達が言うように、晴矢が自分を特別だと思ってくれれば良いのにな、なんて考えたりもした。
「もしかしたら、先輩とかその他女子に睨まれるかもしれないけど平気なふりするんだよ」
「平気なふり…?」
「そんなに睨まれても晴矢先輩の隣りにいるのは私なんです~、くらいの気持ちでいろってこと」
親友のその喋り方が面白くて、また笑った。
そして心が軽くなる。
ほんの少しだけ、晴矢の隣りにいることで感じるあの痛い視線が嫌だったからだ。
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