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晴矢は約一週間前に高熱を出し、寝込んでいた。
桃子も何度か看病に行ったけれど実家暮らしの晴矢の家は何度行ってもソワソワしてしまう。
「今から行く?」
「えっ、や…良いですよ。明日会いますし」
ここは美帆の家。
晴矢の家はここから8軒先の向かい側だ。
「でも晴矢、風邪引いてたからちゃんと会ってないんでしょ?」
「まあ、看病って言っても本人寝てましたしね」
「じゃあ、行こうよっ」
「良いです。今日は晴矢くんのために心を込めてケーキを焼く日です」
その桃子の言葉に、美帆が桃子に抱き着いた。
「えっ、美帆さん!?」
「もう可愛いんだからっ!!」
一人っ子の美帆にはどうやら、桃子が妹のようで可愛くて可愛くて仕方ないらしい。
「晴矢もね、桃子ちゃんが可愛くて可愛くて仕方ないんだよ。この前、翔ちゃん…あ、分かるよね?翔ちゃん」
「あ、はい。翔平先輩ですよね?分かりますよ」
翔平は晴矢の親友。
そして美帆の中学からの悪友だ。
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