the day before.

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力ではとても敵わない。 怖くて目をつむったとき、いきなり手首の痛みがなくなる。 「女の子に何してんの。ダメだよ?乱暴は」 そしていきなり聞こえた誰かの声。 桃子がビックリして目を開けると、元カレがさっきまで寝ていた先輩に羽交い締めにされている。 「あ……」 ビックリして声が出ない。 理解できたのは助かったということのみ。 「なんだよっ、離せ!!」 「先輩に向かってそんな話し方しちゃう子には罰を与えるよ?」 優しい言い方なのに、すごく怖かった。 桃子がその人の顔を見ようとしたとき、図書室にもう一人入って来る。 「…翔平、何してんの。まだ起きる時間じゃねえよ?」 「え?こいつが五月蝿いから今から話し合いすんの。晴矢ちょっとこの子とここで待っててよ」 「はいはい。了解」 「行ってきます」 「うん」 元カレは引きずられるように図書室の外へ。 桃子はそのとき初めてさっきのが翔平で、今自分の目の前にいるのがあの晴矢だと理解した。
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