死の世界

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暗闇の世界…… 人はこれを死の世界と呼ぶ…… 悲しみや憎しみ、それらは想いの力によって産み落とされたのだろう…… ここは静かに朽ち果てた大地…… 空は暗雲に包まれては大地を揺るがさんばかりの雷が鳴っている。 雨は降らない…… 降る必要性が無い…… 風も吹かない…… 草木は全てを枯らし……だがこれが本来の姿であるようにも見える… 「死地の世界……」 枯れ果てた草を黒いブーツが踏みしめた。 全身を黒い衣で被っている人影に、その周りには不気味な黒い影がまとわりついている。 影をまとった者は右手を差し出すと、いつの間にか死の大カマが握られていた。 ごうごうと周波数の合わないラジオのような雑音が鳴り響く…… 黒の衣の者は少し苛立っている…… 手にしたカマを枯れ果てた地面に差し込み、舌打ちをして…… 「ったく!なにぼさーっとしてるのだ!お前は死んでるのだぞ!疲れない!文句をいうな!」 黒い衣の者は手にしているカマを容赦なく後ろに続いている男へ振りかざす…… 男は電流が走ったようにびくっと起き上がるとカマを避ける。 男はまだ若い…… 年は17位だろうか、どこぞやの制服姿をしていてる。 今にも泣きそうにして黒い衣の者の後ろを歩いているのだ。 「おい!死んだってカマは怖いし精神的に疲れるぞ!っつ~か何でこんな状況になってんだ~~!」 「うるさい!うるさい!……わざわざ死んだお前の面倒見てやっているのだ!感謝するのが普通だ!!」 黒い衣の者は後ろに続く少年を殴り飛ばした。 「ぎゃあ~~!死ぬ!死ぬってやめっ~~!」 「うるさい!あーウザイ!貴様あの時の根性見せないか!」 「…………無理だって…よ…死神……」 少年は殴られ過ぎて鼻血を足らしながらくたばった…… 「ったく!なんて軟弱なの?人間ってのは……」 黒い衣をまとった死神は少年の足首を掴みながら少年を引きずる形で、先の見えない朽ち果てた大地を進んで行くのだった。  
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