8人が本棚に入れています
本棚に追加
「さてー…今回、君達の依頼だが……」
学園長室……
幾つものアンティークな家具や置物が飾ってある……
そして、目の前に居座っている老婆は学園長であるが魔女でもあるのだ。
老婆は何かを見透かしたかのようにうすら笑いをしながら二人を見ている。
依頼だ……
この世界には魔法使いが存在している……
もちろん、魔法使いがいるのだから魔法が実在するのだ。
ただし、誰もがこの魔法使いになれるわけではなく、魔法体質のある僅かに才能ある人間だ。
そして魔法使いに成るべくはこの魔女の依頼をこなすこと……
それが魔法使いの条件なのだ。
「…魔女、どうして私が彼女と一緒に依頼をしなきゃならないの?!」
黒い長い髪がさらりとなびく…
目鼻が整っていて、美少女と言うのになんの抵抗もないその少女は、魔女に背を向けた。
「依頼は一人より二人の方が早く終る…他意はない。白の魔法使い。」
魔女と呼ばれる老婆があしらうように言うと少女は舌打ちをした。
「美里…魔女の依頼は絶体…」
横にいるもう一人の少女は淡々とした声で背を向けている者へ話し掛けている。
「…ふん!イルミナ!そんなこと言って大丈夫なの?!坂嶺は魔女の依頼に殺されたって事忘れたの??」
美里と呼ばれる少女は苛立ちを隠せなかった。
「…………」
そしてイルミナと呼ばれる少女はただ俯き黙ってしまう。
張り詰めた空気が漂う中、魔女はニヤリと嘲笑う……
「なにさ、あの子は自分の意思で死んだんだよ?寧ろ死ぬきっかけは妖精じゃあないのかい?」
イルミナは歯を食い縛った……
全ては数日前の魔女依頼。
一人の少年により彼女は救われたが、引き換えに少年自身が犠牲となってしまった…
「それで…依頼って何?」
美里が呆れた物言いで、魔女に問いかける。
依頼だ。
ろくな事になら無いのは彼女は十分知っていた。
「死の世界から産み落とされた悪意やその類い……それらには命とは言いがたいが思念が宿っていると言う。」
「何が…言いたいのでしょうか…」
イルミナは小さい声で問いかけた。
「その思念を断ち切る…いや討伐をして欲しいのさ…」
続けて魔女が言う。
「それらの総称つまり”魔物”をね…」
。
最初のコメントを投稿しよう!