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ドアがパタンと閉まった後、誌乃は、ふぅ…、と溜め息をついた。
冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、グラスに注いで一気に喉に流し込む。
グラスの端から僅かに流れ落ちた水を指先で拭いながら…、ボンヤリと冷蔵庫に持たれ掛かった。
……どうしよう。
どうしたらいいんだろう。
こんな事、誰にも相談なんか出来ない。
ううん、選択肢なんかない。
受け入れるしかないんだから。
それに。
どうせもう、好きな人なんて出来ないんだから。
相手は誰であろうと、…一緒だ。
この時の誌乃は、そんな風に思う事で自分を納得させていた。
愛人になるという事がどういう事なのかも、理解しきれていなかった。
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