白い夢

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 -*-*-*- 珍しく眠り込んでしまっていたらしいクラトスは、目を覚ました。 天使になって眠ったのは、初めてなのではないだろうか。 これは何かの予兆なのか。 それに何か、長い夢を見ていた気がする。 幸せだったように思うが、よく思い出せない。 むしろ、最早何が夢なのかさえ、よく分からない。 クラトスは顔を上げ、目の前に広がる森の、その向こうを見ようと目を細める。 これから、息子であるロイドと戦わなければならない。 もうじき仲間を連れて来ることだろう。 …覚悟はしている。 「アンナ…もうすぐだ。  もうすぐ、お前に会える…」 残酷なほどに青い空を仰ぎ、クラトスは呟いた。 そしてまた目を閉じ、息子を待つ。 この戦いで息子に負ければ、自分は死ぬことになるだろう。 いや、きっと負ける。 今の彼は、自分が本気で戦っても勝てないであろう程に強くなった。 ようやく死に場所を得られるのか、と、彼は思う。 ただ、手を離してしまったあの日から、今まで…そしてこれからも。 息子が育っていく姿を、近くで見つめて、見守っていきたかったと…たったひとつの後悔を残しながら。
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