6.聖夜にて 後

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しかし。 (……それはそれよ) ため息をつき、背もたれに体を預ける。 友達と仲良くする。なるほど、それは確かに、客観的にも社会的にも良いことだ。 が、今のユーリは、その必要を感じていない。 勉強し、立派な社会人になって、ハディス家の名に恥じない仕事をする。その過程において、友達と関わることは必須事項ではない。 少なくとも、彼女自身はそう思っていた。 (私は……兄さんのそばに居られれば、それで良いんだから) 他には、何も要らない。 「……」 無理やり言葉を飲み込み、納得するような感覚だったが、ユーリは深く考えないことにした。 思考を払うように頭を左右に振り、立ち上がる。病院から戻ってそのままだったため、まだ制服姿だ。 (今日は早く寝よ……) 明日は、検査入院を終えたゾリスを交えてのクリスマスパーティーがある。 それに備えて、と言うと大げさだが、ユーリは備える気満々であった。 侍女のキクを呼ぼうとすると、部屋のドアに軽いノック。 ユーリの部屋に事前連絡なしで訪れるのは、ゾリスかキクのどちらか。前者は居ないため、後者だろう。 「キク? 何?」 応答しながら扉に近づく、その背後。 熊のぬいぐるみが再び転げ落ちてしまったことに、彼女は気づかなかった。 ────
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