4.語らう日

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ゾリスさんのお見舞いから、数日が経った。 彼は退院後、検査入院の予定があるとかで、桜峰の実家を拠点に仕事をしているそうだ。 毎日「行ってらっしゃい」を言えるのが嬉しいのだろう。最近のユーリはすこぶる機嫌が良い。 警察や自警団の聴取でも、トラブルらしいトラブルは起きなかったようだし、ゾリスさんの件は一段落したと言っていいだろう。 事件そのものは、未だに犯人が分かっていないから、まだまだ捜査が続くはずだけど。 さて、次に学園だ。 テスト返却も終了した我が校は、今週末の終業式を経て冬休みに突入する。 そして、終業式がある日はクリスマスイブでもある。 日ごとに(男女関係なく)生徒から落ち着きが失われていく様子は、小学校の遠足を彷彿させる。 かく言うオレも、イブに予定がある人間であるからして、そわそわせずにはいられない。 しかし、だ。 当日のプランを練りながら、オレは小さなモヤモヤというか、わだかまりのようなものを抱えていた。 考えれば考えるほど、ため息をつきたい衝動に駆られる。 ……何なんだろうねぇ、一体。 ────
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