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「そりゃアレだ。恋の病だな」
多くの生徒でごった返す食堂の一角で、早々にカレーを食べ終えた慎士がニヤリと笑った。
彼はそのまま、大盛りのきつねうどん(最近のマイブームだ)を食すオレに、実に嬉しそうな顔でたたみかける。
「いやはや、鋼介もようやく自分中心の贅沢トライアングルに気づいたか~」
洗濯したジーパンのポケットから、五百円玉が転がり出てきたくらいのテンションである。
「いくら鈍くてもさぁ、もう少し早く気づこうぜ? せめて夏とかよ~」
「……」
「で、今どんな気持ち? やっぱり甘酸っぱい感じか? ん?」
「茶化すな」
ため息混じりに突っぱねる。
手元のうどんはあまり減っていない。味が染みてるはずのおあげも、何だかおいしく感じられなかった。
「……この状況を楽しめるほど、オレの神経は太くねぇよ」
ちょっと前に受け入れたことだが、今一度だけ再確認しよう。
オレは、ユーリと葛西に想いを寄せてもらっていて、それは自惚れでも何でもない、厳然たる事実である。
……言ったからな。もう絶対に言わないからな。フリじゃないからな。
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